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2006年6月19日月曜日

UML中級講座 第52回 オブジェクトアクション

前回、適用アクションのお話をした時に、このメタクラスは標準化の過程で無くなってしまった、と言うお話をしました。
標準化の過程で仕様が変更されていくのは、ある意味当たり前のことですが、時と場合によっては非常にはた迷惑な現象を引き起こすことがあります。
世の中には、様々な分野に数あまたの標準化の組織があり、中には無能としか呼びようのない団体も事実存在します。(心当たりのある関係者の方、ごめんなさい。他意はございません。個々人に対する個人的な批難ではありません。)
そして、UMLの標準化を行なっているOMGと言う団体の評価はと言うと、私の知る限り、世界の最高水準にある良い団体だと思います。
市場や社会に混乱を巻き起こすダブルスタンダードを生み出さず、適度に早く、また優れたプロセス・コントロールでマネージされています。
私の感じる所は、技術的水準の高さもさることながら、そのマネジメント能力の高さです。
往々にして、標準化団体は、テクノロジー・マネジメントに関する能力に関して疑問符がつく場合があり(国内外を問わず公務員主導型の場合は、特にそういう気がします)、策定された多くの標準が低い評価のまま終わってしまっています。
前回取り上げた適用アクションは、標準化プロセス上、Final Versionの1つ前のFinal Adaptation版と呼ばれるバージョンの仕様に掲載されていました。
この版は、一般にはツールベンダー・レディのバージョンとして知られ、これは、この版を元にツールベンダーは開発を開始しても良いと言うバージョンにあたります。その後の変更は、極めてマイナーな変更に限定されます。
そして、このFinal Adaptation版の発行以降は、変更要求は、次のバージョン(UMLの場合だと、UML第2.1版)で議論されることになります。
ちなみに今回の適用アクションに関する変更は、ツールベンダーに僅かな影響を与えただけで、ユーザーレベルでは、なんの違いもありません。(ツールベンダーレベルで吸収可能な変更です。)

さて、前置きが長くなりました。
本日から、オブジェクトアクションを議論して行きましょう。

5-4 オブジェクトアクション

図 11−06



オブジェクトアクションは、図11−06に示される4つのアクション、CreatObjectAction、DestroyObjectAction、TestIdentityAction、ReadSelfActionの総称です。
ただし、これらの4つのアクションには構造上の共通性がないので、特段共通のスーパーメタクラスは定義されていません。
次回以降、個別にこれらのアクションを見てゆきます。