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2010年12月24日金曜日

SysML 中級講座: 第7回 日本のモデリング事情

日本のIT業界が、他国と異質な面が有る事は有名ですが、モデリング事情も少し異なっています。
今回は、その点を数字で示してみたいと思います。

筆者はここ数年OMGの試験委員をやっている関係で、OMG関連の開発ツールを作っている会社の人と話す機会がありますが、日本のモデリング事情と照らし合わせてみて、時々違和感を感じる事があります。

下の図は、UML系モデリング・ツール(SysMLやSoaMLなどの派生系を含みます)の地域別の市場規模の推計値です。
これらの数字は、ツール・ベンダーから聞いた数字や公表資料をもとに筆者自身が推計したものであり、OMGが発表しているものでは無い事をあらかじめお断りしておきます(従って出典を弊社名としております)。
とは言え、各ベンダーの示す数字は概ね同じような傾向を示していますので、大きな誤差は無いと思います。
2010年 出典 ストラタジーナム社
ここで言うUML系ツールとは、SoaMLやSysMLのツールを含みますが、BPM系のツールは含みません。
主要ベンダーのツールは、SoaMLやSysMLがUMLと連動するよう作ってあります。
また、実際問題として、SoaMLやSysMLの市場は出来たばっかりで、市場規模はUMLに比べると小さく、この図をUMLツールの市場 シェアと見ても、大差ないと思われます。
北米が50%を占めていますが、そのうち大半がUS(合衆国)です。
欧州市場は40%を占めていますが、その40%のうちの7割ぐらい(全体比で30%程度)は英独仏の3カ国で占められています。
そして、残りの10%は、日本を含むその他すべての国を意味します。
この図で、日本のモデリング市場の特徴を見る事が出来ます。
一般のソフトウェア市場で見た場合、日本の市場規模はアメリカに次いで2番目に大きく、国別ではヨーロッパのどの国よりも大きいのが通例です。
しかしながら、モデリング・ツールの市場で見た場合、アジア市場は非常に小さく、また日本は、そのアジア市場でも必ずしも多数派ではなく、インドやオーストラリアなどと横並び状態です。
日本は決してソフトウェア投資、IT投資をしてない訳ではなく、GDP比で見ても、投資額で見ても、先進国の中では中の上くらいに位置しますが、 モデリング・ツールをあまり使わないと言う点で、相対的に異質です。
 欧米の専門家は、ツールを用いないモデリングは実用性に欠けると考える人が圧倒的であり、筆者自身の経験から言っても、欧米で、ツールを使わないでモデル・ベース開発を行なっている現場を見た事がありません。
また、このポイントは、IPAのモデリング部会(筆者もOMG代表として出ております)の日本企業に対するアンケート結果に示される「モデリングの実用性に不満を持つ層が多い」と言う事実と符合します。
日本は、モデリングそのものに関する知見は高いものの、実用のための知見に乏しいと言っても良いのではないか、と言うのが率直な感想です。
もちろんツールだけ知ってても何も出来ませんが、逆にUMLやSysMLだけ知ってても実用的でない、と言えます。
システム・エンジニアリング分野が、日本のITと同じ轍を踏まないためにも、ツールは無視出来ない存在です。

OMG イベントのお知らせ

筆者が関係する団体であるOMGが、来年1月20、21日と東京地区でイベント(フォーラム)を開催する事になりましたので、ご案内いたします。

SysMLセミナー
主催: IPA        共催 : OMG
日時:1月20日 14:00〜17:30  
場所:IPA クラスルーム
申込先 :   http://sec.ipa.go.jp/seminar/2011/20110120_pre.html

BPM/SOA/クラウド フォーラム
主催: OMG     企画運営: UTI    後援: IPA、東海大学
日時: 1月21日 13:00〜17:00
場所: 東海大学高輪キャンパス
申込先: http://www.umlcert.org/news/20110121.html


OMG会長のリチャード・ソーリー博士とOMGボードメンバーであるギャリー・ダンカンソンさんの来日が決まり、現在準備中です。
ソーリー博士は、OMGの顔として昔から何回か来日していますので、皆様ご存知の方も多いと思いますが、IPAとの共催イベントは今回が初めてです。

 ギャリー・ダンカンソンさんは、USのNo Magic社の社長さんです。
彼の会社のMagicDrawと言うソフトウェアは北米やヨーロッパでは有名ですが、日本では殆ど無名です。
テクニカル・ミーティングで会うたびに、日本でも本格的にやったらどうか?と勧めてきたのですが、筆者の言葉に促されたのか、あるいは無関係なのか分かりませんが、今回来日する事になりました。
筆者は、モデル・ベース指向開発の浸透にはツールの使用は必要不可欠と考えておりますので、日本のモデル・ベース開発のいい意味での起爆剤になれば、と期待しております。

2010年12月15日水曜日

西麻布から

筆者は、 日頃テレビをあまり見ないので芸能ニュースにはとんと疎いのですが、事件の現場が知人の自宅の近所だったので見学に行ってきました。
過日、麻布に住む知人のオフィス兼自宅に行った際、歌舞伎役者の市川海老蔵氏が巻き込まれた傷害事件のあったビルがその近所にあると聞いて、帰り道に立ち寄って来ました。

バルビゾン27(海老蔵ビル)
左のビルが通称「海老蔵ビル」と呼ばれるバルビゾン27 ビルです。
筆者がビルの前に立っていたのは10分程度でしたが、その間、3組のグループが同じように記念写真を撮っていて、今や麻布の新名所の観があります。
また写真を撮っていたのは、筆者をのぞくと全員ご婦人で、中には祖母、母、娘の三世代合同の7〜8人の女性ばかりの大家族づれと言う集団もあり(ちなみに、このご家族の記念写真のシャッターを押したのは、筆者です)、海老蔵氏の人気の高さがうかがわれます。
明るいエントランス(バルビゾン27)