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2011年2月24日木曜日

SysML 中級講座: 第8回 日本のモデリング事情  2

今年の正月から、筆者は、アップル社のitunes Uで、イェール大学が提供している古代ギリシャ史の講義を聴講しています。
本当は、古代メソポタミアとか中東史の講義が聴きたかったのですが、残念ながら見あたらず、その代わり、アメリカ史とか古代ローマ、古代ギリシャ史と言った、いかにもつまらなそうな、聞き始めるといきなり睡魔に襲われ1分以内に爆睡しそうなタイトルばかりが並んでいました。
仕方なく、ものは試しとギリシャ史を聞き始めた所、意外にも非常に面白く、ギリシャ国民の方々に、筆者のひねくれた偏見を心からお詫びしたくなりました。

英語のヒアリングに関しても、CNNなんかのニュース番組と比べると、講師の口調はゆっくりと聞き取りやすい感じです。
難を言えば、聞き始めの頃、ギリシャの固有名詞が、非道いアメリカ訛りで発音されるので(例えば、ミケーネ文明の事をマイセーニ、詩人のホメロスの事をホーマーと言った風)、何の事か戸惑いましたが、すぐに慣れますので、英語の学習教材としてももってこいだと思います。

最近は、ギリシャ史に加えて、MIT(マサチューセッツ工科大学)提供の数学の講義の聴講を始めました。
筆者が学生だった頃、数学の講義というと、教官が黒板一杯に数式を書き並べて行き、学生はそれをノートに書き写していくだけと言うパターンばかりでしたので、学生と直感的に対話式に行う講義は、たとえ、既に習った内容であっても、中々新鮮です。
こんな講義を受けてたら、数学をもっと好きになってたのに、と思うような内容ですので、Macをお持ちの方は、一度覗いてみる事をお奨めします(ギリシャ史の例が示すとおり、食わず嫌いは、人生を損しています。)


モデリングとツール

以前のブログで、日本のモデリング事情の特徴の1つとしてツールの使用度が非常に低い事を挙げました。
そして、このことが多くの日本の組織がモデリングが実用な技術ではないと感じていると言う調査結果と方向的に一致していると述べました。
本日は、それでは、「なぜ日本ではモデリング・ツールが使われなかったのか?」と言う事について議論してみたいと思います。
非常に多くの要因が考えられると思います。例えば、財務上の問題でツールが買えない、とか、上司が旧来の実績ある方法に固執している、現状の方法論で十分間に合っている、以前使った事があるが上手くいかなかった、プログラマ達が新しいやり方に抵抗を示す、等々、日本の組織の数だけ理由が出てくる事でしょう。

現実問題として、日本のエンジニアが全員一律にモデリング開発を行う必要はなく、現状で満足できるのであれば、わざわざリスクを取る必要が無い事は事実ですが、既に旧来の方法の限界に直面しているにもかかわらず、モデリング手法を取り入れる事を躊躇する組織が多く見受けられます。
大別すると、①以前ツールを使ってみたが、その後使わなくなった(挫折型)と②使った事が無い(食わず嫌い型)に分かれると思います。
今、筆者が非常に興味を持っているのが①の挫折型です。
と言うのも、日本以外、特に欧米では①のパターンを殆ど見かけないからです。

欧米の開発現場の新入社員は、最近では、殆どがUMLを学校でならって入社して来ています。
そして、大学(院)では、UMLはツールを使いながら学習しています。
ちなみに、話の枕に取り上げたMITの数学の講義ですが、線形代数の講義中、要所要所でMATLABではどう計算するか、と言うポイントを講師が簡単に説明しており(実演は無し)、数学の教育にもツールを取り入れている事がうかがえます(日本で言うと、教養課程の数学教育の段階でMATLABを使用)。
従って、大学(院)でUMLを習った場合、
UMLを知っている ≒ UMLツールが使える
と言う公式が成り立ちます。(これは、学生本人や企業が期待するところでもあります。)

続きは、後日。