ストラタジーナム メニュー

2008年3月6日木曜日

OCRESブログ 第6回 品質モデル QoS

OCRESブログでは、本日から数回にわたり、品質モデルについて議論したいと思います。
品質は、単に組込み系、リアルタイム系だけの問題ではなく、IT系とも共通する問題です。
OCRESで取り上げる品質モデルも、単に組込み系を対象にしたものではなく、IT系とも共通するものです。

QoS サービス品質
品質は、戦後日本のお家芸の分野であり、その製品品質は世界をリードしており、わざわざ改めて学ぶ必要はなさそうです。しかしながら、その日本の世界最高峰の品質に関し一点気がかりな所があり、それがサービス品質(QoS)の概念です。

QoSは、システムが複雑巨大になるに従って重大な問題になって行きます。

一例として、行政サービスを考えてみましょう。日本の個人レベルでのサービス精神は、世界に誇れるものがあります。
ところが、窓口の人はそれなりに一生懸命にやってくれていても、結果的に行政サービス全体としては必ずしも満足いくものではないケースがあります。
また、悪名高い年金サービスですが、国民に対するサービス品質は極めて悪いと言わざるをえず、これは、個々人の担当者の資質の問題を遥かに超えて、明らかにシステムレベル(ITシステムだけではなく、組織機構全体としてのシステム)の問題です。
また、行政サービスだけではなく、民間のマネジメントのサービス品質も重要な問題です。資料によっては、日本のホワイトカラーの生産性は、先進国中で最低の水準にあると報告されています。



システムレベルでのQoS、あるいはシステム工学の面白い点は、例えば、最高の構成要素や部品を使って作られたシステムが最悪のサービスしか提供できなかったり、逆に、構成要素、部品はたいした事がないのに、総合的に最高のパフォーマンスを提供するシステムが出来上がったりする所です。
(ちなみに、システム・エンジニアという言葉は、日本では最近はITエンジニアの一職種を示す言葉として用いられていますが、海外では、本来の広範な意味、すなわち広義のシステム工学に従事する者と言う意味で使われることが多く、ロケット工学等も広義のシステム工学の一つです。)

QoS、サービス品質、という言葉は、世間一般で言われる品質と言う意味よりも、より広範な要素を含み、自然発生的に存在するものではなく、人間が積極的に定義し、評価し管理して行かなければならない概念です。