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2010年7月4日日曜日

アーキテクチャー:メタモデルのすすめ ⑥

90年代以降、アーキテクトは、その方向性を大きくモデリングの方へ舵を切って行き、またそのモデリングも具体的なものから抽象的なものへとシフトして来 ています。
また、アーキテクトの基礎知識として、モデリング技術は当然として求められますが、最近ではメタモデリングの知識も必須項目となって来 ています。

恐らく、このブログを読んでいる人にメタモデルの重要性を訴える事は、釈迦に説法だと思いますので、ほどほどにしたいと思いま すが、そもそも、何で日本ではアーキテクチャーとかメタモデリングが発達しないのかは、筆者にとっても最大の関心事ですので(あるいは、日本にとっても非 常に重要な問題だとも思いますので)、少し触れてみたいと思います。

先日、友人と寿司屋に行った際にもこの事が議論になりました。
ど うも今の日本のカルチャーの中では、無形なものに価値を見いだす事が難しい、と言うよりも、さらに悪い事に、無形なものに対して、ニュートラルではなく負 の評価を行う傾向があるんじゃないか、と言う命題が議論の中心でした。

概念的、あるいは抽象化した議論は、ややもすると言葉遊び的に捉え られ、具体性がないとか、(具体的な)結論を先に言え、と言うような否定的な評価につながり易い傾向があるのは、ITに限った事ではなく、殆ど日本のすべ ての分野で見られる傾向です。
筆者も海外で仕事をする前までは、具体性を好む人間の一人でしたので他の日本人を批判する資格は全くありません。

し かしながら、海外での仕事を通じて、考え方の違いや仕事のアプローチの違いを見るにつけ、日本のやり方が必ずしもベストではない事、結果を生み出さない事 を痛感するようになって来ました。

よく言われる事ですが、哲学(西洋哲学)は欧米では、結構身近な話題です。存在論メタモデルなんて言う話題は、ビジネスマンでも好んで口にします。(余談 ですが、哲学用語は、使うと話が高級そうに聞こえるため営業トークでも頻出しますが、これはやり過ぎでしょうね。)

もっとも欧米人と言っ ても、人によりますので、具体的な話しか好まない人も多くいます。ただ全体的に言って、抽象的な議論に対してネガティブな見方をしない、概念的な作業に価 値を見いだしている傾向があります。
それに対して、日本では「もの」が価値の中心であり、サービスは「もの」に付随する「おまけ」的な見方が相変 わらず続いています。

しかしながら、昨今、日本企業の経営陣の世代交代が進みつつあり、それにつれて考え方も少しずつですが、変わって 行ってる事を実感しています。

貴重な時間を割いて、このアーキテクチャーやメタモデルに関するブログを読んで頂いている方達ー世代が、今 後の新しい時代を作る、と期待しています。


次回からは、OCSMPの資格試験も近々始まる事から、SysMLに関してシリーズで 書いて行きたいと思います。