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2010年7月5日月曜日

SysML 中級講座: 第1回 開始!

本日から、SysML中級講座を始めます。
最初に、何をもって中級と名付けたかについて触れておきたいと思います。


SysMLとOCSMP

現在、INCOSE(International Council Of Systems Engineering)とOMGの協業でOCSMPと言う資格試験の開発が進んでいます。
このOCSMPですが、OMG Certified Systems Modeling Professional と言う名称が示すようにシステムをモデリングする専門家のための認定試験です。
従っ てSysML言語そのもののテストではなく、システムのモデリングに関する知識を問う設問が中心となっています。
しかしながら、モデリングとモデ リング言語は極めて密接な関係があり、喩えて言うと日本文学と日本語の関係、あるいは数学と数式の関係のようなものであり、言語を理解せずに文学を学ぶ事 が実際不可能なように、モデリング言語を知らずにモデリングを実践することは殆ど不可能です(少なくとも、他人が書いたモデル図を読む事は不可能)。

OCSMP は全部で4つのレベルから構成されていますが、試験体系の設計に関しては、このモデリングとモデリング言語の関係、及び、個人の学習に関する成熟度が強く 意識された形になっています。
下の図は、OCSMPの4つのレベルを示しています。
 OCSMPには2つのグループがあり、1つはモデルユーザー、もう一方はモデルビルダーと名付けられていて、モデルビルダーはその名前の通りモデルを構築 する人、つまりシステムを設計する人間を対象とした区分であるのに対し、モデルユーザーは、システム設計者に対し情報を提供したり、あるいは逆に情報をも らったりする人たちです。

実際の現場でもこの区分は良く当てはまり、システム設計を行う人間・グループを中心として、その周辺にはハード ウェア設計者(例:筐体や電子回路)やソフトウェア設計者、そして各々の分野の専門家、例えば社会学者や原子力科学者、物理工学者等々、が取り巻 いています。

そして、モデリングの学習は、他人が書いたモデル図を正確に、過不足なく読み取る事から始まります。

実際、 OCSMPのエントリーレベルであるモデルユーザーの試験は、モデル図を読む能力に主眼が置かれ、モデル図を読み取る上で必要なスキル、知識が試されま す。

言い換えると、エントリー・レベルでは言語の解釈能力を問う問題が中心的です。

一方モデルビルダーは、モデル図を描く人を想 定した出題群からなります。

モデルビルダー初級は、モデル図を描く上で必要な基礎知識が試され、中級、上級になるとモデリングを行う上で必要とな る知識・スキルが試される傾向にあります。

また、中級、上級となるにつれ言語に関する問題も高度化していく傾向がありますが、モデル図を描く上で 必要な知識に限定され、決して単純な文法問題になってしまわないよう配慮されています。

本講座では、モデルビルダー中級程度で必要となる ようなSysMLの知識を想定して進めて行きたいと考えています。

これは、モデルビルダー中級は、一般のシステム製品の設計者を想定した試験区分 である事、そして上級はSystem of Systemsと言うような巨大もしくは複雑なシステム設計者を想定した出題でありMBSE(モデル・ベースト・システムズ・エンジニアリング)中心の出 題になる事が予想され、言語色が薄れる事、等を勘案して設定しました。

また、前提としてUML初級(ファンダメンタル)程度の知識を読者 に想定しています(SysML言語は、UMLを拡張した言語であり、一種のUMLとも言える。)

UMLの入門的な知識に関して知りたい人 は、各種書籍や iStudyシリーズの「iStudy for OCUPファンダメンタル」などのE-ラーニング教材などをお奨めします。