ストラタジーナム メニュー

2010年7月14日水曜日

SysML 中級講座: 第4回 MBSEの利点 その2

あちらこちらで雨の被害のニュースを聞きますが、皆様のお住まいの地域はいかがでしょうか?
前回に引き続きMBSEの利点について議論します。

2.複雑なシステム設計過程の管理を容易にする

2-1  統合モデルを様々な視点で捉え関心の分離が行える。 
モデリングというのは情報の抽象化を伴います。
そして、モデラーが最も留意しなければならない所は、この抽象化の過程で大部分の情報が捨てられてしまっている点です。
モデルは通常、ある一定の視点から描かれますが、複雑なシステムであればあるほど異なる複数の視点でモデリングを行います。
例えば、自動車と言う1つの対象をとってみても、機械屋の視点から見たモデルと、電気屋の視点、ソフト屋の視点とでは全く異なった絵になります。
そして、各々の分野の専門家が独立して行える部分と、他分野の専門家と協調しなければならない分野があり、統合モデルは、その分離と管理を容易にします。

2−2 階層的なシステムモデルを用いてトレーサビリティをサポートする。
筆者が前回のOMG技術会議に出席した際、NASAの安全品質担当の一人の博士が、要件のトレーサビリティが機械的にツールで行える事の重要性を訴えていた事が印象に残っています。
上位の概念設計のレベルから、下位の実装設計のレベルに行くに従って、情報はどんどん変形して行きます。
セマンティックなアプローチでは、対象のシステムの大きくなるにつれ、複雑さが人間の注意力を完全に超えてしまいます。
情報のトーレスが機械的に行えるような言語とツールが必要になってきます。

3−3 要件や設計の変更の影響分析を容易にする
要件が変わったり、設計変更を行ったりする事は、良いか悪いかの問題ではなく、そもそも人生がそうなっているのであり誰にも止められない問題です。モデリングにより、変化の影響分析が容易に行えます。

3−4 インクリメンタルな開発にも、進化論的獲得(革新的進化)にも役立つ
今日の設計の現場は、いわゆるウォーターフォール型ではなくインクリメンタルな開発が主流です。モデリングはもともと、そう言った開発論と共に発展して来た方法です。
また、同時に、抽象化したモデルから、革新的なアイディアが生まれる事も良く報告されています。

(次回に続く)