実は、欧米のコンピュータ業界では、その前後にかなりの憶測が飛び交っていました。
産業構造的に欧米と日本のIT業界は決して同質的ではありませんが、最も異なる点の1つは、軍事分野で顕著に現われています。
筆者は、二十代の頃、当時コンピュータの巨人と呼ばれた企業の研究開発部門にいましたが、その会社のアメリカ市場の最大顧客、つまり、世界市場の最大のコンピュータ・ユーザーは米国国防総省でした。
組込み系の、特に高度技術分野においてはこの構図はまったく変わっていません。
従って、欧米のコンピュータ産業は、ハイエンドに行けば行くほど軍事産業色が強くなり、顧客である各国の国防省の動きには非常に敏感で、一方では顔色を窺いつつ、一方では政治家やロピースト、元軍人等のコンサルタントを使い影響力を行使しています。
国防総省(ペンタゴン)とポトマック川
ラムズフェルド氏の更迭は、ネオコンに代表される文民、つまり軍事の非専門家達による国防総省の完全掌握の失敗と言う側面があり、それはそれで面白い話題ではありますが、当然の事ながら、漏れ伝わる話の確度に幅があり、オンライン向きの話題ではないので、これ以上は触れません。しかし、次回以降、組込み系と言う言う観点で、軍事アプリケーションの特徴を見て行きたいと思います。